街の通りに名前がない?! 「パークアヴェニュー」はどうですか
街の通りに名前がない?!
「パークアヴェニュー」はどうですか
JR自治医大駅周辺の道路には、決まった呼び名がないのでたびたび困る。通りにも地図にも名前は示されていない。そのせいで、場所を的確に説明できない。
駅には売店も案内書もなく、冷たい自動音声と機械音がくり返される。駅を降りると本屋の裏口と大きな壁が訪れる人を拒む。学習塾、不動産屋、処方箋薬局や、看板を降ろした昼間の居酒屋も訪問者を迎えてくれない。訪問者にはとことん冷たくできている。
勇気を出して通行人に道をたずねるのだが、そこでも気の効いた親切な答が聞けないようになっている。
駅前で初めての訪問者から「自治医大病院はどう行けばいいんですか?」とたずねられたら、「とにかくあっちの方角に歩けばたどり着きますよ」と言うしかない。最短ルートを教えてあげたいが、説明し始めると返って相手が混乱する。自治医大周辺は、車中心の街づくりになっていて、JR利用者は相手にしていないようだ。
自治医大には車で来る人も多いが、JRを利用する人も多い。そこには病院関係者だけでなく、患者や家族もいるし、障害を抱える人もいる。
この地域は自治医大を抱えているのだから、病人や障害者も含め歩行者を、住民一丸となってやさしく迎えるようにしなければならない。それができたなら、やさしい街として全国に評判となり、やさしさを求めて人が集まる街になる可能性もある。
まずは何よりも、通りに愛称を付けることから始めよう。共通の呼称がなければ、議論も先へ進まない。
例えばこんな愛称はどうだろうか?(図)
図.こんな愛称はどうですか
駅正面に向かう大通りをウォールストリート、駅からツタヤ、カマシンのわきを通る裏通りを裏ウォールストリート、カワチ薬局の北側をカワチキタウォールストリート、南側をカワチミナミウォールストリート。
自治医大前の東西の通りを医大通り、それに交差して自治医大に突き当たる大通りを医大アヴェニュー、足銀前でウォールストリートと交差する通りをパークアヴェニュー。
ウォールストリートとは壁通りのことであり、「壁が人を拒絶する」として以前に話題にしたことがある(「しもつけウォールストリート物語」、スローテンポ通信2号)。
パークアヴェニューは、ウォールストリートと対をなし、これぞこの通りにピッタリだと、自信をもって推薦する。
パークアヴェニューといえば、ニューヨークのマンハッタンで高級デパートやブティックが並ぶ大通りが有名で、日本語でいうなら公園街となる。
マンハッタンでは東西を走る道路を「ストリート(通り)」、南北を走る道路を「アヴェニュー(街)」と呼ぶ。例えば5番街(アヴェニュー)の45番通り(ストリート)と言えば、初めて訪れる人にとっても、どの辺りか見当がつくようにできている。
アヴェニューは「街」、ストリートは「通り」なら、「ウォール街」は間違いで「ウォール通り」としなければならない。街(アヴェニュー)には5番街など、大きな繁華街が多い。日本で「ウォール街」と呼ぶのは、人が多く賑やかなので「街」のほうがふさわしいと思ったからであろう。
下野のパークアヴェニューは、公園街ではなく、駐車場街である。
この通りは正式には市道7002号線と呼ぶそうだが、道の両サイドには足銀駐車場やツタヤ駐車場をはじめ、月極め駐車場や商店の駐車場がズラリと並んでいる。
営業不振の飲食店や商店は軒並みに有料駐車場に変わった。建物を維持していたのでは維持管理が大変だし、どのようなテナントがつくかわからない。有料駐車場にするのが、手っ取り早く、手間もかからず安心できるというわけだ。
有料駐車場が駅前を占める割合が、駅周辺の衰退の度合いを示すといってもよい。お隣の石橋駅や小金井駅の周辺は有料駐車場が占める割合がはるかに大きい。自治医大駅周辺も、このままでは同じ将来が待っている。現実を見すえるためにあえてパークアヴェニューなのである。
なぜパークアヴェニューなのかは、それだけでない。この通りには両側に歩道があるのだが、その歩道をいつも車が占拠している。歩行者が歩道を歩くにも、駐車車両をよけるために危険な車道に迂回しなければならない(写真1)。
写真1.歩行者は車をよけて車道を迂回する
店の駐車場が狭いから客の車が歩道にはみ出していたり、荷物配達の車や送迎の車も歩道に乗り上げて駐車している(写真2,3)。ごみ収集車両や店の従業員の車まで、平気で歩道に駐車する(写真4)。車の通行を妨げないための配慮はあるのだが、歩行者の通行を妨げることは気にならない。
写真2.歩道駐車はあたりまえ
写真3.配達業者も歩道に駐車する
写真4.従業員も歩道駐車
写真5.送迎するときも歩道駐車
写真6.歩道は駐車するためにある
よくみると、ここの歩道は車が乗り入れできるように、わざわざ段差のない構造になっている(写真4、6)。店づくりも歩道に駐車することを前提にしている(写真1,2,4)。車のための歩道で、歩行者のための歩道ではないのだ。
これでは、視覚障害者や車椅子は通れない。歩行が不自由な人を暗黙のうちに排除しているのだ。歩道に駐車するのは当たり前で疑問すら抱かない。その間違った認識を正し、これからも忘れないために、あえてパークアヴェニューと呼びたいのである。
渋谷にも、大阪にもパークアベニューという愛称の繁華街がある。下野のパークアベニューは、人が集まり活気があるというだけでなく、歩行者に対するやさしさをどこまでも追求する街として、研究機関とも連携して日本や世界の街づくりをリードしてもらいたい。
それとも、色とりどりのセンスの悪いのぼり旗が、洗濯物を干すように歩道の通行を邪魔するようにはみ出して並んでいるので、愛称は物干し通りがいいかな。読者のご意見をいただきたい。
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