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障害者は社会をやさしくする7.「共生」の第一歩は「スローテンポ」から

障害者は社会をやさしくする 


    も く じ

 

 1.はじめに

 2.あてがわれた価値基準が障害者排除を生む

 3.「障害者」という言葉は競争社会がつくった

 4.差別と偏見が生まれるしくみ

 5.「弱肉強食」と「共生」の対立

 6.「共生」が差別と偏見をなくす

 7.「共生」の第一歩は「スローテンポ」から 

 

7.「共生」の第一歩は「スローテンポ」から

 

 「共生」とは目標であり、目標に到達するための方法でもある。「共生」という目標のためにそれに並ぶ方法として、ぜひ知っておいてもらいたいのが「スローテンポ」である。この言葉を、一つの考え方や理念として位置付けたい。

 人間の自立とは、社会的、精神的、経済的に自立することをいう。それは一人の人間として社会参加することであり、仕事をしたり発言したりして社会の一員になることを意味する。

 社会の一員として活躍すれば、社会がそれをたたえる。社会参加することは、誰にでも共通する欲求であり、喜びであり生きがいである。社会に参加することにより、自分自身の居場所を見つけ、自分自身の存在価値を確認する。誰もが働き誰もが活躍することは、共生社会の目標である。高齢者障害者も例外ではない。

高齢者障害者など、社会から排除されてきた人たちは、この歪んだ社会では活躍の場がなかっただけで、決して能力がないわけではない。差別偏見もなく、誰もが安心して働ける場があれば、誰もが自分の能力を発揮し、誰もが活躍することができる。

 高齢者には長くて多彩な人生経験があり、障害者には周囲の人たちをやさしくさせ古い価値観を変えてしまう力がある。いじめ、孤立、挫折などのつらい体験をしてきた人には、本人にしかない特有の鋭い感性がある。このような宝ものの山がこの社会では見捨てられている。

 どのような障害を抱えていても、本人にしかできない仕事がある。やまゆり園事件後、重度障害者の家族は、「何の役に立たなくてもいい。生きているだけでよい」と訴える。しかし、役に立つか立たないかは価値観の問題である。人は生きて存在するだけで、社会の一員でありその役割を果たしている。重度障害者は存在するだけで家族を変え人が生きる意味を教え、社会をやさしくしているではないか。

これらの埋もれた宝を発見し、社会に還元することを可能にするのが「スローテンポ」である。「スローテンポ」は、人間の持つ多様性に価値を見定め、誰もが社会参加し誰もが輝くための方策である。

 それはなぜか。

スピード社会の優等生であるうさぎが、と一緒に歩こうと思うなら「スローテンポ」でなければならないからであり、うさぎが「スローテンポ」で歩けば別の世界が見え、新しい発見があるからである。

それだけではない。優れた仕事にはスピードではなく創意工夫や個性が求められるからであり、混迷する社会だから方向を見失わないために立ち止まって考える余裕が必要だからである。

そして効率優先の社会だからこそ言えることは、何よりも本来仕事は喜びであり、働く人が仕事の喜びを十分に堪能するためにスローテンポ」が求められる

もちろん、救急医療の現場や外科手術は時間との勝負であり、年度予算案の作成、原稿の締め切りなど、期限のある仕事は沢山あることは承知している。しかし競争社会は必要のないところにまでスピードを押し付け、人々をあせらせ惑わせる。スピード追求が度を越しているので、敢えて「スローテンポ」を唱えるのである。

スピード社会は本来の人間に備わっている反応速度や思考速度をことごとく無視してきた。スピードばかりが求められるから、人は余裕を失くし浅はかな間違いをくり返す。詐欺の被害者は、立ち止まって考える機会を奪われるから被害にあう。

津久井やまゆり園事件の犯人も、立ち止まって他人の意見も聞き、「スローテンポ」であせらずじっくりと答を出そうとしたなら、事件は起こらなかったであろう。

多様性を尊重する真の共生社会では、「スローテンポ」の障害者は優れたエリートとなり、いつもせわしく動いているスピード社会のエリートたちは障害者となる。

共生社会の第一歩が「スローテンポ」であり、「スローテンポ」は多様性を認める社会の必須条件である。

 

おわり


Sまだまだ

2017.4.8第1稿

2017.5.10改定第2稿


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