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本屋の本はコンビニの商品と同じではない

  本屋本はコンビニの商品と同じではない



 独立系の本屋コンビニとは違って売りたいものを売る。売れ筋だけを売るのではなく、売りたいものを選んで売る。そこにこそ、本屋の存在意義がある。

 かつて八百屋は、いい野菜を客に届けようとし魚屋はいい魚を客に提供しようとしてきた同じように、本屋は客のためになる本を客に提供する。良い本とは、感動したり気付いたり、真実を知ったりする本のことである。

 野菜や魚が、食べてみなければその味がわからないのと同じように、本も実際に読んで見なければ、本の良さはわからない。

 だから、目利きの八百屋や魚屋が、客に指南してきたように、本屋も客の目的に応じて本を紹介する。

 かつて八百屋や魚屋が「これはナマでうまいよ」「これは焼いて食うのがよい」と言って教えたように、本屋は求めに応じて、読むときの注意や読み方まで指南する。直接本屋まで来れない人のためには、ブログや通信等で本をすすめたり、読むときの注意を伝える。

 名画を見て何の感動もなかった人が、解説文を読んでから改めて見ると、その素晴らしさがわかって大きな感動を味わうことがある。同じように、本を読むにも解説があれば、読み方も変わり得られるものが大きくなる。

 独立系書店はそのように考える。


 それに対し、全国展開をする大手書店は、売れ筋の本ばかりを並べ売れない本は、効率が悪いという理由で返本される。書店の評価は、売れ行きで決められてしまう。このような考え方は、全国規模の大手コンビニや大型スーパーにも共通する。

 大手書店にも言い分がある。

 「売れるということは、客要望しているということだ。消費者求めに応じているのだから、が問題だ?!と言う。


 出版不況が叫ばれ本離れが進んでいる。このままでは出版文化が消滅してしまうかもしれない。この問題は消費者が本をどのように見るかの問題であり、消費者をどこへ向かわせるかの問題である。

 一部の大手書店が主張するように、売上で書店の価値を評価するなら、それは本というものを大手スーパーやコンビニと商品と同じだと見ることになる。本が、おにぎりやクッキーなどの商品と違うのは、情報という宝ものが本という形になって詰められている特異な商品だというところにある。

 しかし、本が単なる情報のパックなら、紙の本ではなく、デジタル媒体の本に代わってもしかたがない。いずれは本がウェブで読めるようになるだろう。実際に、大手プラットフォーマーは、世界中の書籍をウェブで検索できるように準備しており、いずれ本そのものがウェブで読めるようになるかもしれない。そうなったら、紙の本は、流通に手間がかかるだけで、コストに見合うだけのメリットがなくなる。紙の本は消滅する運命にあるのだろうか。 


 そんなことはない。本に詰められた情報は、ウェブで氾濫する情報とは違う。

 SNSやブログで盛んにやり取りされているような、軽くて受け入れられやすい情報ばかりが情報ではない。見たくないけど見なければならない情報、1回読んだだけでは理解のできない奥深い情報、人生をひっくり返すような斬新な考え方を教えるものなどもある。

 これらの重い情報をウェブで読んで、しっかり紙に印刷され製本された本を読むのと同じように、内容を体得できるだろうか。

 世代交代が進み、ウェブで育った世代ばかりになれば、紙の本は役割を終える、という人もいる。それを言う前に、そうなることに賛成なのか反対なのかをはっきりさせて欲しい。次の時代をつくるのは今を生きる人間なのだということから逃げてはいけない。


 ウェブの世界では一つ一つの情報が、あまりにも軽く扱われる。後で読み返そうと思っても、そのうち忘れてしまう。情報があまたあふれる中で、人々はどう情報を選ぶか。「オトク情報」と「いいね」の多い情報になる。

 人々はオトク情報に敏感になり、オトクに結びつかない情報には関心を失っていく。世間から取り残されないために、人気サイトや支持者の多い意見には敏感になる。こうして、知らず知らずに消費者の意識はつくられる。

 さらに、ウェブの世界では、都合が悪い情報は操作して簡単に消すこともできる。「いいね」さえおカネで買えるのだ。ウェブ情報はいとも簡単に操作されるのである。そして、操作に反対する声が上がっても、そのような声も操作して消される。ウェブの世界では、力のある者が勝利する。

 消費者は、宣伝に乗せられ、自分自身を振り返ることもなく、オトク情報に群がる。牧場で飼い慣らされた牛や羊のように、餌が見える方向に向かっていく。オトク情報の競争が始まり、情報がますます氾濫していく。

 餌の種類まで、都合の良いようにランキングされ、巧みに仕組まれ疑うことがないように餌付けされてい。餌付け装置に気が付かないようにさらに巧妙に餌付けされてい

 若者から高齢者まで、いかに暇をもてあましていても、本を読まない。本離れが進むだけでなく、本に近付かない理由はそこまで巧みに餌付けされてしまったからである


 詐欺がはびこる時代だ。詐欺の横行に対して政府は対応できないでいる。そんなことは、本を読んで資本主義の仕組みを知った人にとっては当たり前のことだ。資本主義とは、消費者をうまくだましてその気にさせ商品を売りつけようと競争をやっているのである。

 詐欺師にだまされないためには、詐欺師を知ることである。詐欺の手口を知るだけでなく、誰が詐欺師で、詐欺師が何を考えているか、何が目的か、どうして詐欺がはびこるのかを知ることだ。それを知るには、本を読むに限る。

 独立系の書店は、現代社会を真剣に見つめるために必要なら、ときには、反社会的な主張をする本を置くこともある。差別を煽る本も、ヘイト本も、新興宗教の本も、戦争を煽る本だって置くこともある。

 「読者が本を読んでマインドコントロールされてしまったらどうするんだ?」と言われても、反論する。

 読者がマインドコントロールされる本とは、本としては成功だ。本は、著者から読者へ向けての言論の行使である。街角で演説するのと同じだ。マインドコントロ-ルされるということは、それほど説得力があか、読者の方が影響を受けやすかったか、いずれかである。

 いかに巧妙に書かれていても、ウソを見抜く力がれば、簡単にマインドコントロールされることはない

 ウソを見抜く力は、逆境に耐えたり大きな失敗をしでかすなど、生活の中でつちかわれる。本を読める人は、実際に体験しなくとも、想像力を働かせて本から実体験したかのように教訓を学ぶことができる。さ本を読んで道理がわかるようになった人は、理屈の矛盾にすぐに気付きウソを見破ることができるようになる。


 本は文化を担っている。いつの時代も歴史は本に記録され、世直しの熱い意見は本によって人々に伝えられてきた。世界を左右する熾烈な議論は、本を挙げてなされてきた。政策論争は本の出版が舞台である。

 このような、一クセも二クセもあるような本は、ウェブで読んで理解できるものではない。独立系の本屋はそうした本を消費者に届け、読み方を指南する存在である。

 情報がいとも簡単に操作される時代に、本は「言論の自由の最後のとりで」である。 


N


>>>スローテンポ書店の考え方


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