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『ハヨンガ』チョン・ミギョン著、大島史子訳 ☆☆☆☆☆

 『ハヨンガハーイ、おこづかいデートしない?

   チョン・ミギョン著、大島史子

   アジュマブックス2021

   ☆☆☆☆


 この本は、韓国最大のアダルトサイトを閉鎖に追い込んだフェミニストたちの苦悩と戦いを描いたドキュメンタリー小説である

 睡眠薬をもられてヌードを撮られ、写真をネットで公開されたら、どうするか。何事もなかったようにおとなしくしているか、それとも声をあげるのか。

 声をあげても、世間は決して味方になってくれない。法もシステムも被害者を見捨てる。忘れようとしても、一度公開された写真はどんどん拡散する。

 もう黙ってはいられない、と声をあげた女性たちがいた。この理不尽な仕打ちに、彼女たちはそれにどのように立ち向かったか。


 ストーリーは、女性蔑視のアダルトサイト、ソラネットと、それに立ち向かう女性フェミニストグループ、メドゥーサとの対決の物語である。最後にソラネットのサイトが閉鎖に追い込まれ、メドゥーサが勝利する。

 悪い男の罠にはまって餌食にされる女性たちや、男尊女卑の企業で働く女性たちが登場し、彼女たちの苦悩が描かれる。子どものように素直で善良な男性も登場し、その男性の存在に安心する女性もいる。

 女性は被害者か正義の味方のどちらかで、男性は野獣のような悪人か、女性の味方になる善人のいずれかしか登場しない。だから単純明快で、わかりやすい。

 メドゥーサが、ソラネットの犯罪情報をつかんだ。

 お仕置きすべき女性が一人、意識朦朧の状態で待っている。順番にレイプして辱める動画をアップするために5名限定で協力者を募集するという。

 メドゥーサの女性たちが集まって、いかにして女性を救出するかを練った。警察を待っていたのでは女性を救えない。ここからの展開がハラハラドキドキで、自分がすっかり物語の中にはまりこんで途中で読むのを止められない。

 だから、この本は電車の中で読んではいけません。夢中になったら乗り越してしまいます。


 SNSにかぎらず活字の世界でも、言いたいことを包み隠さず言ったのでは、この社会では攻撃を受けるのが常である。感情的なバッシングだけでなく、頭の硬直した作家や権威ある評論家たちは、必ず理屈をこねてケチをつる。

 この本についても文句が出るだろう。

 ストーリー展開が強引で都合がよすぎる。犯罪者が犯行時に長々と独白するなどあり得ない。

 しかし、今の時代は、次々とあり得ないことばかりが起きているんだから、無視すればよい。攻撃やケチを気にしていたら、せっかくの勢いが失せてしまう。読者は、勢いに乗って読むのがよい。

 勢いのある書きっぷりは、著者の熱い思いの表れだろう。その熱が存分に伝わってくる。

 被害を受ける女性たちに限らず、世間の様々な理不尽な仕打ちに立ち向かおうとするものに、勇気と知恵を与えてくれる。

 フィクションであるが現実を映し出している。構図を単純明快にしたからこそ、テーマをしぼりこむことができたのだろう。ネットによる性犯罪の奥底に潜む心理を深く追求し、それを生み出す社会構造にまで踏み込んで、自ずと読む人に考えさせる。この本は、勢いで読んで、読んだ後に考えるのがよい。


N


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Keyword : ハヨンガ おこづかいデート チョン・ミギョン 大島史子 アジュマブックス ソラネット

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