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障害者は社会をやさしくする2.あてがわれた価値基準が障害者排除を生む

障害者は社会をやさしくする  

――「障害者は不幸をつくるだけ」は違う!

    津久井やまゆり園事件とスローテンポ

    2

 

 も く じ

 

 1.はじめに

 2.あてがわれた価値基準が障害者排除を生む

 3.「障害者」という言葉は競争社会がつくった

 4.差別と偏見が生まれるしくみ

 5.「弱肉強食」と「共生」の対立

 6.「共生」が差別と偏見をなくす

 7.「共生」の第一歩は「スローテンポ」から

 

 

 

 

2.あてがわれた価値基準が障害者排除を生む

 

 「障害者は不幸をつくるだけだ」とする植松容疑者の言葉は、彼自身が、介護殺人や介護心中、介護放棄などに象徴される介護負担の問題に積極的に取り組んできたり、真剣に人生を生きる中でとことん考え抜いた末に掴み取った言葉とは思えない。限られた生活空間で、氾濫するメディアや他人の言葉の影響を特に意識することなく受けてきた結果に違いない。警戒心なく漫然と生きていれば、この社会はそのような思いに至るようにできている。

 価値判断の基準は人によって違うものだが、商品を売り付けてぼろ儲けしようとする欲深い連中は、あの手この手を使って都合のよい価値基準を押し付けてくる。

中身のない流行や人気ランキング、高級ブランド、科学の進歩、最新の医療という言葉や、○○賞受賞の作品などなど、この社会は欲望刺激装置で満ち溢れている。人は欲望を常に刺激され、欲望を満たし満足することが生きる意味だと教えられ、幸せな人生の定番が示される。

 いい学校を出ていい会社に就職し、いい人と結婚して、健康でかわいい子どもをさずかる。女の子にはピアノを習わせ、男の子には野球かサッカーをさせる。いい家に住んで、いい車を買って、週末は家族で観光地をドライブする。やがて子どもが成長し、親と同じようにいい学校を出ていい会社に就職し、いい人と結婚して、健康でかわいい孫に恵まれて孫をかわいがる。そして我が子が、スープの冷めない距離にいい家を建て、孫が成人する頃は、夫婦で趣味や旅行を楽しみながら穏やかな老後を過ごす。

どの年齢でも常にセンスよくおしゃれに気を配り、話題に遅れないようにテレビの人気番組をチェックする。教養ある人間として恥ずかしくないように読書、芸術、音楽もほどほどにたしなむ。

 日本のメディアが提示してくる人生の目標とはそういうものではないだろうか。このような目標を指標にした価値基準をあてがわれた価値基準という。多くの日本人がそのような価値基準で生活しているように見える。植松容疑者の言葉から、彼が思い描く幸福の形にも共通するところがあるように感じられる。

 そのような価値基準しか知らない人が、障害者施設で働けば、現実は障害者が負担ばかりかけていると映り、「障害者は不幸をつくるだけだ」と思うようになる。

 そのうえ、今の若者世代は、自由教育の名の元に「君は何でもできる」と万能感を植えつけられ、あさはかな自己決定までも礼賛されるので、批判的意見は聞かず、一旦思い込むとそれがなかなか修正されない。

 

 人は幸せをつかもうと努力するが、それがかなわず挫折し葛藤することもある。受験、就職、結婚などで失敗すれば、納得のゆく理由を見つけたり、挽回の可能性を自分に言い聞かせたりして何とか再起をはかろうとする。挫折の体験は人を強くするが、挫折を乗り越えられず心の病に陥る人もいる。

障害者と触れ合ったこともなく、あてがわれた価値基準しか知らない人にとっては、障害のある子どもを持つことは、子どもも家族も幸せな人生をつかむ可能性はなくなったと感じてしまう。

絵に描かれた幸せの形にとらわれているのだから、幸せへの道は完全に閉ざされ再起は不可能だと宣告されたように思ってしまう。だから「障害者は不幸をつくるだけだ」という言葉が生まれるし、障害者と無縁の人たちの中にもその言葉が理解できるという人が出てくる。

障害者とその家族が、楽しく幸せに暮らしている姿を、実際に見たり想像できる人たちからは、そのような言葉は出てこない。

  3に続く


Sまだまだ

2017.4.8第1稿

2017.5.改定第2稿

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