愛情ホルモンガスで世界を平和にする
日曜日の朝、いつまでも寝床から出ないでボケーっとしていたら、脳みそがかってに活動を始め妄想がふくらんだ。
愛情ホルモンを100万倍に濃縮し、それを搭載した超小型ドローンを紛争地に飛ばす。ドローンは小バエほどの大きさで、同時に数万個を飛ばす。
ドローンはハエたたきで簡単に打ち落とされるが、壊れるとき愛情ホルモンを放出する。戦闘中の兵士たちは毒ガスを吸うように、ガス状になった愛情ホルモンを吸う。
吸った兵士たちは、人間がいとおしくてたまらなくなる。相手軍兵士のことを、まるでわが子のように無性にいとおしくなって攻撃をやめる。戦闘はおさまり皆がよろこぶ。これを紛争地でくり返せば世界が平和になる。
ところで愛情ホルモンとはどういうものだろうか。
子を生んだ母親は、わが子がむしょうにいとおしくなる。オキシトシンというホルモンが急速に分泌されるからだとされる。オキシトシンのことを誰かが愛情ホルモンと名付けた。
不毛の議論を繰りかえしている国会にも、愛情ホルモン搭載ドローンを飛ばして政治家たちが国民をわが子のようにいとおしく感じるようにすれば、国会も有意義な議論をするようになるだろう。
愛情ホルモンが必要な人はたくさんいる。
腐敗堕落した政治家たちや世界中に紛争の種をばらまく大国の政治家たち。国民にうそを重ねいかにして収奪するかしか考えない官僚たち。客をだまして自分の利益だけを追求するビジネスマンたちなどなど、まだまだたくさんいる。
こうした悪党どもに愛情ホルモンガスを浴びせれば、対立もゆがみ合いも解消され人々を幸福にすることができる。やがて世界は平和になる。
愛情ホルモンはすでに製品化され、スプレー缶に詰められ販売されている。
研究者たちの行った治験では、これをスプレーすると人は警戒心がうすれ騙されやすくなるという結果が出た。
現実の社会は契約社会だ。他人をうまくだまして自分の利益を追求することが当たり前のように容認されている。そんな社会で真面目な人が生きるには、愛情ホルモンは返ってマイナスかもしれない。これが必要なのは、他人をだます人たちのほうだ。
愛情ホルモンは、どうして無性に人をいとおしくさせるのだろう。
出産後の母親に限らず父親だって、生まれたわが子はいとおしい。オキシトシンは母親に限らず父親にも分泌される。子供の笑顔を見たときやスキンシップなどで上昇する。
いつも顔を合わしている自分の女房も、あるときは憎たらしいが、無性にいとおしくなるときがある。無性にいとおしくなるときはオキシトシンが分泌されるている。
人をいとおしくする愛情ホルモンがあるなら、人を憎らしくさせるホルモンもあるに違いない。まだ特定されていないが、それを攻撃ホルモンと呼ぼう。
人は、子どもを見たときや、相手に愛情を感じたときに、自然に愛情ホルモンが分泌され、相手をいとおしく感じる。逆に、人にだまされたり人から攻撃されると、攻撃ホルモンが分泌され攻撃的になる。人類は、進化の過程でそんな心と体の仕組みを獲得し、今日まで生き延びてきた。
そう考えれば単純明快でわかりやすいが、人には、優しい人もいるし攻撃的な人もいる。優しい人には愛情ホルモンが多く、攻撃的な人には攻撃ホルモンが多いとして片付けられのだろうか。
愛情ホルモン、攻撃ホルモンを分泌するスイッチの反応性が人によって異なるとすれば、やさしい人と攻撃的な人の違いがうまく説明できる。
スイッチの反応性は、生まれながらの違いというよりも、育った環境や経験、学習によって得られるものに大きく依存するだろう。
人は、他人の話を聞いたり本を読んだりして、ものの見方、考え方を学び成長する。そして成長すると、日本人は大人になったと言って称えてきた。究極の成長段階を悟りという。悟った人は、自然界や社会の摂理に従い、人為的につくられた欲望から自由になる。
アジアでは古代から、自然や社会の摂理が説かれており、為政者も僧侶も学者も武士も一般人もそれを学んできた。自分の欲望だけを追求することは恥とされてきた。日本もそうだった。
ところが、明治維新以降、近代化と同時に西欧のものの考え方を学ぶようになり、敗戦後に米国礼賛が始まってからは、欧米に倣って個人の欲望追求を奨励し始めた。みなが自分の欲望追及に走ると、競争が生まれる。競争は早い者勝ちだから、人々に余裕がなくなる。
攻撃ホルモンは勝利につながり愛情ホルモンは敗北を招く。
勝ち残った者たちはさらなる利益追求のため、他人の欲望を刺激する。競争はますます激しくなる。要領のいい悪人どもが生き残り、善人が排除されていく。
政治家も官僚も、ビジネスマンも小売り店主も、学者も評論家も、テレビ番組製作者も出版編集者も、会社員も派遣労働者も、そんな社会でみんな必死に生き延びようとする。我々は、個人の欲望追求を究極の目的とする西洋の考え方に、脳みそが侵されてしまっている。
思い通りに行かず追い詰めらた人は心の病に陥る。欲望追及社会では、心の病までクスリづけの餌食にされる。
近年になって、西洋の欲望追求理論では心の病は治療できないとして、認知行動療法に頼り始めた。なんのことはない。それはは、アジアでは古代から引き継がれてきた悟りを教えるものに他ならない。歪んだ欲望から解放されると人は自由になる。みんな大人に成長せよ、ということだ。
世界平和のためには悪人どもを悟らせる、それが本来の道だ。しかし、彼らは人の話を聞いたり本を読んだりして学ぶことはない。
しかし待ってはいられない。自分たちの利益のために紛争を仕掛ける政治家たちには、緊急に対処が必要だ。毎日毎日犠牲者や難民が増え続ける。だからすぐに効果を発揮する愛情ホルモンガスがあればいいなあとつくづく思う。
N
- 関連記事
-
- ホームの白線が点字ブロックに化けた謎 ――視覚障害者も安心して電車に乗りたい―― (2020/03/12)
- 夫婦げんかをおさめる方法 ―――課題解決型も話し合いが、家庭も世界も平和にする (2020/02/22)
- 愛情ホルモンガスで世界を平和にする (2020/01/18)
- 懇話会での話題(2)「おじさん」「おばさん」を使おう (2019/10/05)
- 懇話会での話題(1)「おじさん」「おばさん」と呼べなくなった (2019/10/05)
- 人の話を聞かない人に どう対処するか (2019/09/10)
- ひきこもってなんかいられない (2019/06/19)
- 悪人を善人に変える方法 (2018/10/26)
- スローテンポとは何ものか (2018/09/19)
- 大人は若者たちに何を残すのか (2018/07/14)
- 6月セミナー「人と人とのつなぎ方」の報告 (2018/06/30)
- 若者の未来は 高齢者の現在 (2017/07/29)
- スローテンポが心地よい社会をつくる (2017/04/04)
- スローテンポの価値 (2016/11/26)