インスタントラーメンにも歴史があった
歴史があった
テレビドラマでインスタントラーメンが話題になっている。インスタントラーメンと自分自身との関わりを振り返ってみたら、それを文章にしたくなった。
インスタントラーメンが我が家に登場したのは1955年頃である。八百屋にも魚屋にも並べられ、すでに人気商品だった。
インスタントラーメンの元祖は、日清食品の創業者、安藤百福が開発したチキンラーメンだ。他の食品メーカーも「これは売れる」と見抜き、すぐにまねをして独自のインスタントラーメンをつくり売り出した。
各メーカーが競い合ったから、テレビコマーシャルで毎日のように宣伝された。大人も子供も、コマーシャルにのって商品名と会社名をすっかり憶えてしまった。家庭の台所を担っていた母親達は、「これは手間がかからない」と喜んだ。
「鍋一つでラーメンがすぐ出来る。」「簡単、便利で手間いらず。」 だから、大人にも子供たちにも大人気だった。
「うちはチャルメラよ」とか「うちは出前一丁ラー油付」だとか、母親達の井戸端会議でもラーメンの話題でもちきりだ。テレビにすぐに影響される子供たちも、学校に行って自分の好きなラーメンを言い合った。ちなみに私の家は、サッポロ一番かチキンラーメンだった。
お昼ごはんやおやつの中身が変わったのはこの頃だった。私が小学生の頃は、土曜日が半ドンだったので、家に帰ってからのお昼ごはんは、インスタントラーメンかおにぎりというパターンがほぼ出来上がった。
間もなく、テレビで「インスタントラーメンの問題点は?」という特集番組があった。
その内容は「偏った栄養のインスタントラーメンばかりを採り続けるのは身体に悪い。」「脂肪や塩分の摂り過ぎも良くない。」「野菜や卵を入れて、栄養のバランスをとらなくてはいけない。」というものだった。
ラーメン好きの私の体重が少しずつ増え、小学6年生のときには立派な肥満児になっていた。簡単で手軽に食べられるラーメンは、人気の反面、脂肪分が多いのでカロリー過多になることに人々が気付き始めた。ニュースで肥満児が社会問題として取り上げられたのはこの頃だった。
しばらくして、サッポロ一番に新しい仲間が登場する。まだ他のメーカーが醤油味で競い合っていた頃、♪サッポロ一番みそラーメン、塩ラーメン♪が相次いで登場した。
これは驚きだった。私はラーメン屋で塩味のタン麺を食べていたので、塩ラーメンなら「こんな味だろう」と予想できたが、みそラーメンは想像すらできなかった。街のラーメン店が味噌ラーメンを売り出すのはその後のことだ。始めてみそ味のラーメンを食べたときは、あまりの美味しさに、この世に生まれてよかったと思ったものだ。
みそ味、塩味がでた頃から、母のつくるラーメンに変化がおきた。それまでの醤油ラーメンには何も入れなかったが、みそ味、塩味のラーメンにはキャベツやニラ、もやしなどがのり、見るからぜい沢なラーメンになったのだ。
ラーメンに野菜がのり始めたのは、テレビが特集番組で、「栄養のバランスが良くない。」「野菜をのせなさい。」と言ったからであり、それを受けて食品メーカーが野菜とマッチする味噌味、塩味を売り出してくれたからである。
テレビのおかげで、野菜や卵などの入った贅沢インスタントラーメンを食べられるようになった。
それから間もなくして、容器付きのカップラーメンが登場することになる。
たべものがかり
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