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戦争をコケにする、

   平和主義の一つの形

 


☆☆☆ <こんな本があります>のコーナー『反戦歌 戦争に立ち向かった歌たち』を紹介した。その記事の中から一つを、特別にタイトルをつけ独立させて掲載します。☆☆☆


 

MASHとは、朝鮮戦争を舞台にした反戦映画であり、そのタイトルは移動陸軍外科病院のイニシャルである。予算がなくて、新人ばかりを起用して制作された。映画会社のお偉いさん方が現場をのぞきに来ることもなかったから、何の制約も受けず自由につくれた。

映画業界は何の期待もしていなかったが、公開されると観客は絶賛し、業界肝いりで予算をかけた『トラトラトラ!』や『パットン大戦車軍団』を超える人気だった。この映画は、軍も戦争もとことんコケにしている。

さて、この映画のテーマ曲が『自殺は苦痛を消してくれる』であり、監督の14歳の息子が作詞した。作曲者から「ばかばかしい歌詞がほしい」と希望が出されたのだけれど、監督をはじめ大人たちにはうまい案が浮かばず悩んでいた。監督が息子に話したら、息子は5分で書き上げた。監督はそれをそのまま採用した。

もともとの曲名は『Suicide is painless』だが、『もしもあの世に行けたなら』という翻訳もある。

この歌は決して自殺を勧めているわけではない。何事も思い通りにならない戦場で、苦痛ばかりが頭をもたげてくる。そんな中でも自殺だけは自分の意思でできるし、苦痛を消してくれる。この歌をとりあげた本『反戦歌・・・』の著者はそのように解釈し、戦争そのものをコケにしていると絶賛する。

この映画には公開自殺セレモニーといった場面まであり、どこまでもブラックユーモアで戦争をコケにする。


ふと思った。戦争をコケにしてよいものだろうか。

自分の意思に反して戦争にかり出され、そこで犠牲になる若者たちや、不当な侵略から町を守るために武器をとる勇気ある人たちをコケにするのは、確かにいただけない。

しかし、戦争の悲惨さを知り尽くしたはずの人類が、優秀な頭脳と資金を投入して、平和維持のための究極の国際システムを構築してきたにも関らず、それでもなお、「俺の言うことを聞けないのか」といって戦争をくり返す、そんなおろかさ加減をコケにするのは大いに結構なことだ。

朝鮮戦争で投下された爆弾の量は太平洋戦争のときの4倍であり、兵士や民間人の死者の総計は国連の推計で500万人弱である。それだけの犠牲にもかかわらず、38度線を挟んで双方がにらみ合う姿は、戦争前と同じだ。これが、おろかな人類の姿なのである。


日本は平和主義を標榜する。ところが外国人は、日本の平和主義には理念がないと批判する。平和主義と社会・経済問題とが切り離されているから、こういうことになるのだろう。

戦争とは決まって、欲深い連中の狂った欲望が引き金になっている。そして日本では、社会構造の改変がどんどん進められ、「儲けることはよいことだ。他人が困るのは自己責任だ」と吹聴される.。欲望礼賛の勢いは、とどまることを知らない。

平和を求める日本には、落語漫才があって、コケ降ろしの名人たちがいる。この欲望礼賛のおろかさを、とことんコケにして欲しい。


『反戦歌 戦争に立ち向かった歌たち』 竹村淳著 ☆☆☆☆☆★

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