FC2ブログ

私がみんなに読んでもらいたい本


キャバ嬢なめんな。』


  著者 布施 えり子

  現代書館 2018/4/20 発行 1300円+税 



 賑やかなピンクの装丁と本のタイトルを見て、よくある奮戦記かなと軽く思った。ところが、読み進むうちにどんどん引き込まれ、著者の行動力と、仲間になった女性たちのエネルギーに感動する。読後は爽快感でいっぱいになった。

 

 著者は、非正規労働者の労働組合・フリーター全般労働組合に勤めており、その傘下にキャバクラユニオン2009年に結成した。キャバ嬢をはじめとした夜の世界で働く人たちの賃金の未払いや暴力事件、ハラスメント等200件以上の事件を扱って無敗の実績をもっている。

 著者は相談を受けているうちに、実態を直接見なければならないと思うようになり、実際にキャバクラで働くことになる。


 キャバクラとは「キャバレークラブ」の略称だが、みなさんは、キャバクラにどのような印象をもっているだろうか? 

 2009年当時は、キャバ嬢が女子中高生の「なりたい職業」のランキングに登場し、キャバクラの人気が高かった。

 キャバクラで働くことは特殊なことではなく、一見気付かないだけで、経験者は私たちの周囲に普通にいるのだ。学費や生活費を稼ぐために、アルバイトで働く高校生や大学生も結構いる。


 キャバクラは、風営法で規制されているので警察署の許可を受けなければ営業ができない。正確な数値は出ていないが、キャバクラの数は全国で約6万店、キャバ嬢の数が約120万人と推測される。

 それほど需要と供給がある仕事だから、当然国も関わっているはずなのに、キャバ嬢が給料未払いのトラブルで労働基準監督署に相談に行くと、「夜の仕事は扱っていません」と言って門前払いをされる。役所は自分たちの都合で仕事の範囲を決めているのだ。

 弁護士も見返りが少ないことで手を出さない。最近、労働組合がキャバクラの労働争議を扱うようになったが、まだまだ数が少ないのが現状だ。

 

 著者が仕事に就いたお店では、手取りから10%を無条件で引かれ、出勤日にはヘアーメイク代1600円、送り代1000円、厚生費400円が引かれるシステムになっていた。

 働く時間の40分前に出勤して、遅刻すると罰金を取られる。お客が入らないときは早上げさせられ見込んでいた収入が消える。反対にお客が多ければ、店の都合で朝の5時まで働かされる。

 給料のごまかしや早上げ、売上をのばすために反強制的にアルコールを飲まされるなど、理不尽なことばかりが重なっているところに、ある日突然店から「明日店を閉めます」と通告があった。

 通告を目にして、いよいよ自分の戦いが始まるのだと、闘志がムラムラと沸いてきた。 

 ちょうどそんな時、キャバ嬢歴の長い先輩が現れ、仲間を増やしてくれた。彼女は、キャバクラ業界に入ってくる女性たちに、自分と同じような思いをさせたくないとして立ち上がり、前面にでてキャバクラユニオンの代表となってくれた。活動を続けるうちに、仲間たちの間にリーダー格となるような女性も出てきた。

 著者と同じ職場で働いてきたキャバ嬢たちは、普段からキャバクラユニオンの説明を少しづつやっていたので、快く協力してもらえた。

 戦いで最初にすべきことは、キャバクラ業界でも労働基準法が適用されることを相手方の経営者に理解してもらうことだ。記者会見やデモを実行して自分たちの目的と行動を周囲やマスコミに訴えた。

 しかし、交渉相手は一転、二転と態度を変えたり、最悪の場合は姿を消してしまうので、団体交渉(憲法が保障)にもっていくだけでも難しい。


 団体交渉の次の手は労働争議となる。労働争議とは、労働条件などをめぐって労働者と使用者との間でおこる争議のことだ。

 著者と仲間たちは、事前に打ち合わせをし、争議相手が営業している店に乗り込んでいく。または、経営陣のトップの自宅マンション前で小型の拡声器を使って大声で内情を訴える。こんな活動を情宣活動というそうだ。

 例えば、「○○マンションのみなさん、ここの〇階に住む○○さんはキャバクラで従業員のお給料を未払いにして、組合の交渉に応じずに逃げ回っています!」といった内容を住民たちに訴え、味方になってもらうのだ。

 著者のケースでは、交渉から8ケ月、やっと未払い分の一部が支払われたが、ここからが闘争の本番となってますます困難となる。

 著者が当事者となったこの事件は、最終的に解決するまで約6年もかかりキャバユニ史上最長記録となった。


 あとがきで著者は、「立ち上がった女性たちの勇気とエネルギーの連鎖が、女性の苦しみと抑圧を打ち破る力になってほしい」 と訴えている。その通りだと思う。


 

    2018/7/25 いつか七味唐辛子   


    »»»記事一覧»»»




関連記事
プロフィール

うさぎもかめも

Author:うさぎもかめも
~~~~~~~~~~~~
うさぎもかめも、
白鳥もアヒルも、
コブタもオオカミも、
桃太郎も犬も猿も雉も鬼も、
若者も高齢者も
障害のある人もない人も、
誰もが参加し、誰もが輝く場をつくります。
~~~~~~~~~~~~~
このブログは
一般社団法人スローテンポ協会
が運営します。

»»»記事一覧»»» 
いま注目!
»»»こんな本があります»»»
~~~~~~~~~~~~~

最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ