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  大分土砂崩れ災害

原因は「拡大造林」にある

 


 『藤田恵の環境問題にもの申す第41回』

(『月刊むすぶ567号に掲載)

を紹介します。

 


突然の山崩れに民家が巻き込まれた。土砂の中から遺体が発見され6人の死亡が確認された。いずれも死因は圧死だった。大分県の山里からのニュースである。なぜ全国で山崩れ災害がくりかえし起こるのだろう。

山間地をドライブすると、山肌が崩れた光景を度々目にするのだが、人的、経済的被害がなければニュースにもならず、人びとの関心の対象にはならない。

私は樹木に詳しい友人から、「スギは根が浅い。広葉樹は深くまで根がはる。日本の山にスギばかり植えたから、山が崩れる」という話を聞いたことがあった。

 

大分での土砂崩れのニュースが報道されたとき、当然、日本の過去のスギ造林政策にまで話が及ぶものと思ったが、どの局も、どの新聞もそれには触れなかった。

専門家は「地下水と岩盤劣化」が原因だとするが、スギの問題には触れない。

テレビのコメンテーターたちは率先して被災者家族に寄り添う姿勢ばかりを演じている。

専門家たちは意図的にスギを隠していると感じた。テレビや新聞もその仲間か、あるいは完全にロボット化された集団のどちらかだ。映像には一群のスギの崩れた無残な姿が映し出されているというのに、それを見ないようにしているのだから。

それとも、スギの植林には地盤を強固にするという新事実が発見されたのか。新説が常識となり、その新常識を私が知らないだけなのかもしれない。友人の古い話を全面的に信じ込むのは間違いかもしれない。

しかし、それならそうと造林に対する考え方の変遷を報道すべきであり、何も触れないのはやはりおかしい。林業関係者なら、スギと広葉樹の違いなどは誰もが知っていることだし、国策でスギばかり増やしたことも知っているはずである。

 

テレビや新聞は、政界の空気をよむときや、大本営の発表を知るときには役に立つが、事実を知るためのものではない。ネットメディアは、真偽不明のインスタント情報が氾濫して骨太記事へのアクセスを邪魔立てする。

ますますいやな時代になったものだと思っているときに、『月刊むすぶ567号が届いた。その中で藤田恵さんは、◇緊急報告◇ として、短い文章で私の疑問に見事に答えてくれた。

 

 1950年代から、国は広葉樹を伐採してスギを蜜に植える政策を打ち出した。それを「拡大造林」と呼び、国は補助金まで出して精力的に推し進めた。

ところが1964年の貿易自由化によって、木材価格は暴落しスギ林は荒れ放題となってしまう。政治家、学者、官僚、マスコミは、「拡大造林」という日本史の恥部をなかったことにしたい。

大分山崩れ事故は、「拡大造林」による典型的な事故であるが、国交省、学者、研究機関などは、地下水と岩盤風化による深層崩壊が原因だとし、新聞はそれを鵜呑みにして報道している。地下水や岩盤風化のない山林などは存在しないのだから、説明になっていない。

通常のスギの植え付けは1ヘクタール当たり500本程度だった。「拡大造林」ではその10倍以上の密度で植えた。さらに、以前なら尾根や沢の付近は、広葉樹を残しスギを植えることはなかったが、「拡大造林」ではそうした広葉樹まで伐採してスギを植えた。

「拡大造林」を推し進めた結果、広葉樹の落ち葉がないから保水力のある腐葉土ができず、スギ林の中まで日がささないから草や小木が育たなくなった。そのため雨が少し降るたびに表土が侵食されていく。スギの成長も悪いから根が岩盤まで食い込まない。スギが根をはらず立っているだけだから、ちょっとした雨や風だけでも自重に耐えられず一気に崩れることになる。

 

著者は、孟宗竹を植える、雨水や伏流水の滞留を少なくするために林道の幅員を狭め側溝を造る、など具体的な災害防止策にも触れるが、何よりも先に行政による「拡大造林」の反省が必要だと訴える。

行政とマスコミは、土砂災害警戒区域の指定やハザードマップの作製などと騒いでいるが、そんなことよりも「月刊むすぶ」の今月号を読めと言いたい。

(続く)とあるから次号が楽しみだ。


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