とちぎ発 食の安全・安心・満足
とちぎ発 食の安全・安心・満足
2016年12月、「オーガニックファーマーズマーケット ~とちぎの台所~」というイベントに参加してみました。
主催はとちぎオーガニックフェスタ連絡協議会という団体で、パンフレットには「とちぎで有機農業を営む農家さんと、みんなの食卓をつなぐ台所」とうたっていました。
説明には次のようにあります。
イベントのねらいは次の3つ
1.有機農業者と実需者・消費者が出会う場をつくる
2.有機農業の価値観を広め、有機農業に関心を持つ人を増やす
3.有機農業に取り組む生産者・実儒者・消費者のネットワークを拡大する
出展されるものはおよそ次の4つ
1.有機農業で生産された農産物の販売
2.オーガニック食材使用の飲食物・書籍等の販売
3. ワークショップ(体験コーナー)
4.有機農業に関する情報発信など
現地ルポ
場所は栃木県立博物館の前庭を利用したスペースでしたが、売り手側も買い物客もはつらつとしていて活気を感じられました。
先ずは全体を見ようと一回りしました。
お昼にしようと思って、中央に陣取っていたおじさん二人のブースが浮かびました。そこで有機栽培のアンパン、クリームパン、食パンを買いお昼にしました。
アンとクリームが入ったパンは、具だけが前面に出ていて、有機栽培のパンとしての味は分かりませんでした。食パンの方は、もちもち感と自然な味がとても気に入りました。
一緒に行った友人の感想は、「普段食べている食パンの方が美味しい」 と言うので、私は教えてあげました。「それは、美味しい添加物が入っているからよ。」
それから、ドリンクは有機栽培のコーヒーを選びました。片仮名のオリジナルブレンド名は忘れてしまいましたが、炭火特有の味と深みが美味でした。
ここでの友人の感想は、「苦味だけが目立っていて、コーヒーの味をなくしている」と厳しい指摘でした。
まだ何となく物足りないので、お腹を満たそうと次に行ったのが”本場中国の味”とうたった餃子ブースでした。
本場中国と聞くと、有害化学物質混入などの怖いイメージと重なってたじろぎましたが、美味しそうに焼いている餃子を見て、思わず質問してしまいました。
「本場中国の味って、どういう意味ですか?」
店員が答えました。「僕は日本に来て、まだ10ヶ月です。日本で餃子を広めるために、故郷の中国のおばぁちゃんから餃子を習ってきました。」 ということで、安心して餃子を頬張りました。
お店のカタログを見せてもらったら「皮から手作りで科学調味料無添加! 肉と野菜本来の旨味が溢れ出す!」と書いてありました。
酢醤油をたっぷりかけ過ぎたせいで、餃子の味がちょっと薄い気がしましたが美味しく頂きました。友人の感想は「餃子のサイズが大きいけど、1個110円は高いねー」 でした。
お腹が満足したので散策を続けました。
野菜売り場のひとつで、生でも食べられる美味しい春菊を購入しました。
家に帰ってからサンドイッチやサラダに入れて食べましたが、確かに美味でした。これまで、春菊を生で食べた経験がないので、とても新鮮でした。
話は売り場に戻して、家庭菜園をやっていている素人の私から、そこのブースの主(30才代後半かな?)に質問してみました。「土作りはどうやっているのですか?」
主は応えてくれました。
「農薬や化学肥料は一切使わないで、牛糞、鶏糞、豚糞などを使っている。収穫量も多いので人手も10人程雇用している。」
ということは、かなり手広く経営しているようです。
有機肥料のことは、私もまだ勉強中なので何とも言えませんが、牛や鶏、豚はどんな餌を食べているのか疑問に思うところです。
50年前の私の母がやっていた昔の農家は、畑に人糞を入れていました。小学生だった当時を思い出すと、きゅうりの瑞々しさと酸味の利いたトマトの甘さが忘れられません。
今はどうでしょうか? 寄生虫問題などの衛生的な理由から人糞は難しいようです。
ちょうど近くにあったのでおじさん二人の中央ブースに再び立ち寄ってみました。そこで、赤いニンジンとオレンジのニンジンが目に付き、どちらを買おうかと悩みました。ニンジンはそのまま、スティックで食べてもよし、レンジでチンしてもよし、煮込みでもよしですが、最近私はレンジでチンしてそのまま食べてます。
値段的にはそれほど違いはありませんが、以前食べた体験から赤い甘いニンジンを選びました。 それから同じブースで、私の便秘常備薬とするためのサツマイモを購入しました。ちょっと値段が張るのが気になりましたが、安納イモに初挑戦することにしました。この話には後ほど尾ひれがつきます。
この後、ちょっと知り合いのお米農場をやっているブースに足を向けました。ここでは前回玄米を購入しているので、今回は肉厚なしいたけが目に付いたので購入してみました。
家に帰ってから、このしいたけを油を引いたフライパンで焼き、ポン酢醤油で食べてみましたが、正に山のステーキでした。
この農場から先日購入した玄米は圧力鍋で炊いていますが、ねっとり感があり、味に甘さがあります。
ここの農場のお米は、農薬や化学肥料を使わないだけでなく、自然の雑草や生き物の恵みを生かして育てているそうです。野山の木々が無肥料で育つ仕組みを、田んぼに応用することで
出きる農法だと言っています。
そんな自然農法を聞いてはいましたが、私の周辺の農業に従事している人たちからの影響で、私は「農業は草むしりとの戦い」と刷り込まれていたので、なかなかできずにいました。
家庭菜園をやっている私は、お米は作っていませんが、昨年はじゃが芋やきゅうり、トマト、オクラ、茄子、里芋、ミョウガ等に挑戦し、なかなかの収穫でした。
もともと、農薬や化学肥料は使っていませんでしたが、草むしりは小まめにやっていたので、今年からはこの驚きの農法をぜひ真似てみたいと思います。
ついでに便秘の常備薬は多い方がいいと思い、サツマイモの紅はるかも購入しました。先ほどの安納イモと比較すると本数もグラムもかなりお得です。
このブースでは、若そうなお兄さん(20歳代全般?)がはつらつとした笑顔で商品説明をしていました。話しをしてみると、農業を学ぶためにこの農場でお手伝いをさせてもらっているとのことでした。将来、信頼出来る農業家になってほしいと思いました。
というわけで、安納イモ初挑戦の件に戻りますが、この後、おじさん二人のブースに行って、「向こうでは紅はるかがこんなに安かったよ」 なんて文句を言いました。
するとおじさんの一人が、「食べ比べたら分かるよ」 とむきになった私を一蹴しました。
帰宅して、実際食べ比べてみたら分かりました。紅はるかも美味しかったけど、安納イモは
もっと美味でした。安納イモのあっさりした甘さ、自然の甘さ、また食べたくなる甘さなど等で軍配があがりました。しかし、好みは人それぞれですから、強くは言いません。
次に目に付いたのが「ラムサールふゆみずたんぼ米」の幟(のぼり)でした。
ラムサール条約湿地に登録された渡良瀬遊水地の周辺で、冬に田んぼに水を張る農法です。無農薬・無化学肥料で、生きものを育みながら栽培した特別なお米だそうです。
試しに2kgの袋詰めを購入しました。早速自宅で食べたところ、ねっとりと言うかもっちりと言うか、歯ごたえがあり、存在感のある味でした。
この無農薬栽培米で作ったお酒を、今回、見逃したのは残念でしたが、機会があったら飲んでみたいと思います。
フリーマーケットに参加した私の感想
今回の 「とちぎオーガニックフェスタ」のようなイベントに参加したのは、昨年の秋頃から数えて3回目です。3回目の全体の印象は、生産者の人たちが輝いていたことです。自分の作品に自信を持ち、意見を持ち、未来の生産者のあり方を前向きに模索されているように思いました。
ブースごとに同じような商品を並べていても、それぞれの個性を活かした作り方や主張がありました。
野菜などは初めて見るものもあったり、手作り商品なども工夫していました。
又、各生産者がこだわりの農法に自信をもって説明しているので、消費者が求めている安心、安全につながるのではないかと思いました。
しかし、私は、イベントの目的そのもに何か足りないものを感じました。それは農業の地産・地消の考え方です。これも付け加えてくれればよいと思いました。
まとめると、生産者や消費者、それに関る者が一体となって 「見る・聞く・話す・触る・楽しむ」 ことができました。
疑問点とこれからの課題
1.このイベントの企画情報活動を消費者に広く宣伝しているか?
2.この活動は仲間内のイベントではないか?
3.オーガニックフードはなぜ値段が高いのか?
4.オーガニックフードは、一部の人の贅沢品ではないか?
5.オーガニックを看板にビジネスをしようとしているのではないか?
6.地産・地消の理念を忘れてはいないか?
これらの疑問を少しずつでも解決していくにはどうしたらよいか!
私がこのようなイベントに参加したのは3回目です。少し前に、上三川いきいきプラザで「有機農業推進フェア」のイベントがあり参加しました。
出展内容は今回のイベントと同じでしたが、そこで同時に開かれた「特別講演」はすばらしいものでした。その時の感動をいち早く伝えられれば良かったのですが、残念ながら機を逃していました。頂いたパンフレットの一部を、思い出しながら少しご紹介したいと思います。
「特別講演」の講師は、わざわざ愛知県名古屋市から来られた吉野隆子さんです。彼女は「 オーガニックファーマーズ朝市村」の村長さんです。2004年から始まった朝市村の歴史や内容が報告されました。
朝市村は、有機農家本人がお客様に直接販売する朝市です。場所は名古屋の中心部、栄にある都市公園オアシス21です。農産物に限定したオーガニックマーケットとしては日本最大規模です。
朝市村に出店できるのは農家本人だけです。栽培した本人が、野菜や米、くだものについて伝えて販売することを大切にしています。
出店品目は、オーガニックの農産物・天然の魚介類・育て方に考慮した肉類などの素材とその加工品のみです。
朝市村の「オーガニック」の定義は、有機農業推進法に準じています。農薬・化学肥料を使わないのが基本ですが、減農薬や例外的に農薬を使った場合は、必ず表示することになっています。
朝市村開催日は、当初は月2回だったのが2009年6月から毎週開催となりました。オーガニックの農産物を「イベント」ではなく、「日常」にしたいと思う運営側と消費者からの要望が合致したからだそうです。
又、朝市村は新規就農希望者を育てる場所にもなっています。朝市村開催時に「就農相談コーナー」を開設したり、農業体験、研修生の受け入れ、就農資金の相談、就農後の相談と手厚いサポートが充実しています。
朝市村の小冊子にはこれらが要約してあります。
1)有機農家と都市の消費者がつながり交流する場となっている。
2)消費者が、農家で農業体験をする畑の入り口となる場になっている。
3)有機で新規就農した農家の販路開拓・マッチングの場となっている。
4)研修受け入れから就農後のサポートに至る新規就農希望者の支援の場となっている。
ここには朝市村の元気の原動力がまとめられているようです。
今年で13年目になる朝市村は、「有機農業と朝市」のモデルケースになります。
小冊子は朝市村が大切にしてきたことを10の原則としてまとめています。
1. 販売できるのは、農家本人が育てた農産物とその加工品だけ。農家本人が販売。
2. 地産地消・旬産旬消。エリアは愛知と、愛知に隣接する三重・岐阜・長野・静岡の5県。
3. 出店希望があれば、栽培状況を確認するために、生産者と事務局が共に畑や田んぼに出向
く。 栽培情報は農家が直接伝えることができるので、有機JASは求めない。
4. 生産者同士はライバルだけど、大切な仲間。
5. イベントではなく、オーガニックを「日常」にする。毎週開催で、いつも食卓に。
6. 継続する力をつけ自力で続けるために、助成金を使わず出展料だけで運営。
7. 消費者ボランティアが運営に関る。
8. おいしさの追求。野菜の品質を高める努力を怠らない。
9. 新たな販路探しの努力。みんなで協力する。
10.有機での新規就農希望者を、新たな生産者に育てる。
13年間も続けてこられた理由は、これらの原則を大切にしてきたからだと思います。
このような活動内容をみると、私が「とちぎオーガニックフェスタ」に抱いた疑問は払拭できるのではないでしょうか? 栃木ではまだまだ時間がかかりそうです。
朝市村の配布物には、「笑顔の種まき」という言葉が添えられています。
農家は畑に種をまくだけでなく、朝市村でお客様の笑顔がうまれるような種をまき、それが育って実り、やがて熟して農家に再び笑顔の種が帰ってくる。朝市村を、種をまき種を受け取る場にする、という意味が込められています。
なんて素敵な言葉でしょう。「笑顔の種まき」が広がれば、日本中の人々が、そして世界中の人々が笑顔になれるはずです。
2017.3.3 いつか七味唐辛子
»»»記事一覧»»»
2016年12月、「オーガニックファーマーズマーケット ~とちぎの台所~」というイベントに参加してみました。
主催はとちぎオーガニックフェスタ連絡協議会という団体で、パンフレットには「とちぎで有機農業を営む農家さんと、みんなの食卓をつなぐ台所」とうたっていました。
説明には次のようにあります。
イベントのねらいは次の3つ
1.有機農業者と実需者・消費者が出会う場をつくる
2.有機農業の価値観を広め、有機農業に関心を持つ人を増やす
3.有機農業に取り組む生産者・実儒者・消費者のネットワークを拡大する
出展されるものはおよそ次の4つ
1.有機農業で生産された農産物の販売
2.オーガニック食材使用の飲食物・書籍等の販売
3. ワークショップ(体験コーナー)
4.有機農業に関する情報発信など
現地ルポ
場所は栃木県立博物館の前庭を利用したスペースでしたが、売り手側も買い物客もはつらつとしていて活気を感じられました。
先ずは全体を見ようと一回りしました。
お昼にしようと思って、中央に陣取っていたおじさん二人のブースが浮かびました。そこで有機栽培のアンパン、クリームパン、食パンを買いお昼にしました。
アンとクリームが入ったパンは、具だけが前面に出ていて、有機栽培のパンとしての味は分かりませんでした。食パンの方は、もちもち感と自然な味がとても気に入りました。
一緒に行った友人の感想は、「普段食べている食パンの方が美味しい」 と言うので、私は教えてあげました。「それは、美味しい添加物が入っているからよ。」
それから、ドリンクは有機栽培のコーヒーを選びました。片仮名のオリジナルブレンド名は忘れてしまいましたが、炭火特有の味と深みが美味でした。
ここでの友人の感想は、「苦味だけが目立っていて、コーヒーの味をなくしている」と厳しい指摘でした。
まだ何となく物足りないので、お腹を満たそうと次に行ったのが”本場中国の味”とうたった餃子ブースでした。
本場中国と聞くと、有害化学物質混入などの怖いイメージと重なってたじろぎましたが、美味しそうに焼いている餃子を見て、思わず質問してしまいました。
「本場中国の味って、どういう意味ですか?」
店員が答えました。「僕は日本に来て、まだ10ヶ月です。日本で餃子を広めるために、故郷の中国のおばぁちゃんから餃子を習ってきました。」 ということで、安心して餃子を頬張りました。
お店のカタログを見せてもらったら「皮から手作りで科学調味料無添加! 肉と野菜本来の旨味が溢れ出す!」と書いてありました。
酢醤油をたっぷりかけ過ぎたせいで、餃子の味がちょっと薄い気がしましたが美味しく頂きました。友人の感想は「餃子のサイズが大きいけど、1個110円は高いねー」 でした。
お腹が満足したので散策を続けました。
野菜売り場のひとつで、生でも食べられる美味しい春菊を購入しました。
家に帰ってからサンドイッチやサラダに入れて食べましたが、確かに美味でした。これまで、春菊を生で食べた経験がないので、とても新鮮でした。
話は売り場に戻して、家庭菜園をやっていている素人の私から、そこのブースの主(30才代後半かな?)に質問してみました。「土作りはどうやっているのですか?」
主は応えてくれました。
「農薬や化学肥料は一切使わないで、牛糞、鶏糞、豚糞などを使っている。収穫量も多いので人手も10人程雇用している。」
ということは、かなり手広く経営しているようです。
有機肥料のことは、私もまだ勉強中なので何とも言えませんが、牛や鶏、豚はどんな餌を食べているのか疑問に思うところです。
50年前の私の母がやっていた昔の農家は、畑に人糞を入れていました。小学生だった当時を思い出すと、きゅうりの瑞々しさと酸味の利いたトマトの甘さが忘れられません。
今はどうでしょうか? 寄生虫問題などの衛生的な理由から人糞は難しいようです。
ちょうど近くにあったのでおじさん二人の中央ブースに再び立ち寄ってみました。そこで、赤いニンジンとオレンジのニンジンが目に付き、どちらを買おうかと悩みました。ニンジンはそのまま、スティックで食べてもよし、レンジでチンしてもよし、煮込みでもよしですが、最近私はレンジでチンしてそのまま食べてます。
値段的にはそれほど違いはありませんが、以前食べた体験から赤い甘いニンジンを選びました。 それから同じブースで、私の便秘常備薬とするためのサツマイモを購入しました。ちょっと値段が張るのが気になりましたが、安納イモに初挑戦することにしました。この話には後ほど尾ひれがつきます。
この後、ちょっと知り合いのお米農場をやっているブースに足を向けました。ここでは前回玄米を購入しているので、今回は肉厚なしいたけが目に付いたので購入してみました。
家に帰ってから、このしいたけを油を引いたフライパンで焼き、ポン酢醤油で食べてみましたが、正に山のステーキでした。
この農場から先日購入した玄米は圧力鍋で炊いていますが、ねっとり感があり、味に甘さがあります。
ここの農場のお米は、農薬や化学肥料を使わないだけでなく、自然の雑草や生き物の恵みを生かして育てているそうです。野山の木々が無肥料で育つ仕組みを、田んぼに応用することで
出きる農法だと言っています。
そんな自然農法を聞いてはいましたが、私の周辺の農業に従事している人たちからの影響で、私は「農業は草むしりとの戦い」と刷り込まれていたので、なかなかできずにいました。
家庭菜園をやっている私は、お米は作っていませんが、昨年はじゃが芋やきゅうり、トマト、オクラ、茄子、里芋、ミョウガ等に挑戦し、なかなかの収穫でした。
もともと、農薬や化学肥料は使っていませんでしたが、草むしりは小まめにやっていたので、今年からはこの驚きの農法をぜひ真似てみたいと思います。
ついでに便秘の常備薬は多い方がいいと思い、サツマイモの紅はるかも購入しました。先ほどの安納イモと比較すると本数もグラムもかなりお得です。
このブースでは、若そうなお兄さん(20歳代全般?)がはつらつとした笑顔で商品説明をしていました。話しをしてみると、農業を学ぶためにこの農場でお手伝いをさせてもらっているとのことでした。将来、信頼出来る農業家になってほしいと思いました。
というわけで、安納イモ初挑戦の件に戻りますが、この後、おじさん二人のブースに行って、「向こうでは紅はるかがこんなに安かったよ」 なんて文句を言いました。
するとおじさんの一人が、「食べ比べたら分かるよ」 とむきになった私を一蹴しました。
帰宅して、実際食べ比べてみたら分かりました。紅はるかも美味しかったけど、安納イモは
もっと美味でした。安納イモのあっさりした甘さ、自然の甘さ、また食べたくなる甘さなど等で軍配があがりました。しかし、好みは人それぞれですから、強くは言いません。
次に目に付いたのが「ラムサールふゆみずたんぼ米」の幟(のぼり)でした。
ラムサール条約湿地に登録された渡良瀬遊水地の周辺で、冬に田んぼに水を張る農法です。無農薬・無化学肥料で、生きものを育みながら栽培した特別なお米だそうです。
試しに2kgの袋詰めを購入しました。早速自宅で食べたところ、ねっとりと言うかもっちりと言うか、歯ごたえがあり、存在感のある味でした。
この無農薬栽培米で作ったお酒を、今回、見逃したのは残念でしたが、機会があったら飲んでみたいと思います。
フリーマーケットに参加した私の感想
今回の 「とちぎオーガニックフェスタ」のようなイベントに参加したのは、昨年の秋頃から数えて3回目です。3回目の全体の印象は、生産者の人たちが輝いていたことです。自分の作品に自信を持ち、意見を持ち、未来の生産者のあり方を前向きに模索されているように思いました。
ブースごとに同じような商品を並べていても、それぞれの個性を活かした作り方や主張がありました。
野菜などは初めて見るものもあったり、手作り商品なども工夫していました。
又、各生産者がこだわりの農法に自信をもって説明しているので、消費者が求めている安心、安全につながるのではないかと思いました。
しかし、私は、イベントの目的そのもに何か足りないものを感じました。それは農業の地産・地消の考え方です。これも付け加えてくれればよいと思いました。
まとめると、生産者や消費者、それに関る者が一体となって 「見る・聞く・話す・触る・楽しむ」 ことができました。
疑問点とこれからの課題
1.このイベントの企画情報活動を消費者に広く宣伝しているか?
2.この活動は仲間内のイベントではないか?
3.オーガニックフードはなぜ値段が高いのか?
4.オーガニックフードは、一部の人の贅沢品ではないか?
5.オーガニックを看板にビジネスをしようとしているのではないか?
6.地産・地消の理念を忘れてはいないか?
これらの疑問を少しずつでも解決していくにはどうしたらよいか!
私がこのようなイベントに参加したのは3回目です。少し前に、上三川いきいきプラザで「有機農業推進フェア」のイベントがあり参加しました。
出展内容は今回のイベントと同じでしたが、そこで同時に開かれた「特別講演」はすばらしいものでした。その時の感動をいち早く伝えられれば良かったのですが、残念ながら機を逃していました。頂いたパンフレットの一部を、思い出しながら少しご紹介したいと思います。
「特別講演」の講師は、わざわざ愛知県名古屋市から来られた吉野隆子さんです。彼女は「 オーガニックファーマーズ朝市村」の村長さんです。2004年から始まった朝市村の歴史や内容が報告されました。
朝市村は、有機農家本人がお客様に直接販売する朝市です。場所は名古屋の中心部、栄にある都市公園オアシス21です。農産物に限定したオーガニックマーケットとしては日本最大規模です。
朝市村に出店できるのは農家本人だけです。栽培した本人が、野菜や米、くだものについて伝えて販売することを大切にしています。
出店品目は、オーガニックの農産物・天然の魚介類・育て方に考慮した肉類などの素材とその加工品のみです。
朝市村の「オーガニック」の定義は、有機農業推進法に準じています。農薬・化学肥料を使わないのが基本ですが、減農薬や例外的に農薬を使った場合は、必ず表示することになっています。
朝市村開催日は、当初は月2回だったのが2009年6月から毎週開催となりました。オーガニックの農産物を「イベント」ではなく、「日常」にしたいと思う運営側と消費者からの要望が合致したからだそうです。
又、朝市村は新規就農希望者を育てる場所にもなっています。朝市村開催時に「就農相談コーナー」を開設したり、農業体験、研修生の受け入れ、就農資金の相談、就農後の相談と手厚いサポートが充実しています。
朝市村の小冊子にはこれらが要約してあります。
1)有機農家と都市の消費者がつながり交流する場となっている。
2)消費者が、農家で農業体験をする畑の入り口となる場になっている。
3)有機で新規就農した農家の販路開拓・マッチングの場となっている。
4)研修受け入れから就農後のサポートに至る新規就農希望者の支援の場となっている。
ここには朝市村の元気の原動力がまとめられているようです。
今年で13年目になる朝市村は、「有機農業と朝市」のモデルケースになります。
小冊子は朝市村が大切にしてきたことを10の原則としてまとめています。
1. 販売できるのは、農家本人が育てた農産物とその加工品だけ。農家本人が販売。
2. 地産地消・旬産旬消。エリアは愛知と、愛知に隣接する三重・岐阜・長野・静岡の5県。
3. 出店希望があれば、栽培状況を確認するために、生産者と事務局が共に畑や田んぼに出向
く。 栽培情報は農家が直接伝えることができるので、有機JASは求めない。
4. 生産者同士はライバルだけど、大切な仲間。
5. イベントではなく、オーガニックを「日常」にする。毎週開催で、いつも食卓に。
6. 継続する力をつけ自力で続けるために、助成金を使わず出展料だけで運営。
7. 消費者ボランティアが運営に関る。
8. おいしさの追求。野菜の品質を高める努力を怠らない。
9. 新たな販路探しの努力。みんなで協力する。
10.有機での新規就農希望者を、新たな生産者に育てる。
13年間も続けてこられた理由は、これらの原則を大切にしてきたからだと思います。
このような活動内容をみると、私が「とちぎオーガニックフェスタ」に抱いた疑問は払拭できるのではないでしょうか? 栃木ではまだまだ時間がかかりそうです。
朝市村の配布物には、「笑顔の種まき」という言葉が添えられています。
農家は畑に種をまくだけでなく、朝市村でお客様の笑顔がうまれるような種をまき、それが育って実り、やがて熟して農家に再び笑顔の種が帰ってくる。朝市村を、種をまき種を受け取る場にする、という意味が込められています。
なんて素敵な言葉でしょう。「笑顔の種まき」が広がれば、日本中の人々が、そして世界中の人々が笑顔になれるはずです。
2017.3.3 いつか七味唐辛子
»»»記事一覧»»»
- 関連記事
-
- インスタントラーメンにも歴史があった (その2) カップヌードルの流行 (2019/05/25)
- インスタントラーメンにも歴史があった (2019/03/14)
- とちぎ発 食の安全・安心・満足 (2017/03/03)