懇話会では、なぜ自己紹介をしないのか?
懇話会は、課題解決型の話し合いに取り組んでいます。現実を冷静に見つめ、快適な社会を築くために必要だと考えるからです。
前例がないので、試行錯誤で挑戦しています。そのため、普通とは違うことばかりで、初めての参加者は戸惑うことがあります。そのひとつが、自己紹介をしないことです。
初対面の人どうしが話し合うとき、自己紹介から始まるのが常です。ところが、めずらしい経歴が披露されると、話題がそこに集中してしまい、話す人が決まってしまいます。商談の場などでは、話を優位に運ぶためによく利用されます。
懇話会は、自分の立場を主張したり、自慢話をしたりする場ではありません。いろんな人に意見やアイデアを出してもらいたいから、どなたも歓迎します。だから、自己紹介を求めないし過去を問わないのです。
自己紹介をすることには、メリットもあるしデメリットもあります。
大仕事を成し遂げた人や立派な経歴の持ち主は、自分の過去を紹介したいでしょう。参加者の中には、立派な人の話を聞いて自分の成長につなげたいと思う人もいるでしょう。
しかし、逆に自分の過去から逃れたい人もいます。出身や経歴を隠したい人もいます。人の話を聞こうと思ったら、自分のことを話すのはマイナスです。庶民の本当の暮らしを知りたいと思ったら、江戸の殿様だって身分を隠して庶民の中に入っていくのです。
経歴や過去を話題にすることは、立派な人間と立派でない人間をつくってしまうことになります。懇話会は、人間にものさしを当てません。課題解決のために、人物ではなく、意見やアイデアを求めるのです。
確かに、過去や経歴を知ることで、本人の考え方や人生を深く理解することができます。しかし、それは、本人をとことん理解しようとするときです。中途半端に知ることは、思い込みや誤解につながります。
日本の社会は、自分を名のり、経歴や身分、立場を紹介することを求めます。相手を立場からとらえるクセがついてしまっているのです。だから、名刺をもらわなければ、交渉も議論も出来ないのです。
前半は、話題提供です。参加者に、生活上の困ったことや悩み事などを、どんどん吐き出してもらいます。そして、休憩前に、出てきた話題から参加者みんなの共通課題を見つけだします。
休憩後の後半は、その共通課題を解決するために、意見やアイデアを出し合って話し合います。最終目的は、あくまでも共通課題の解決です。
共通課題を見つけ出したり、意見やアイデアを出し合うとき、本人の過去や経歴はむしろ邪魔になります。自分の意見を説明するときに、かつての自分の体験に触れる必要があるなら、必要なことだけを話せばよいのです。
論理的に説明できないからといって、過去や経歴を持ち出すのは、一種のごまかしです。
懇話会は、誰に対しても特別扱いはしません。どなたも安心してご参加してください。
店長
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